九州大学 総合型選抜II(旧AO) 芸術工学部 芸術工学科 メディアデザインコース の話(8)
それは、環境設計コースもインダストリアルデザインコースも;
「事前に何に関して制作、デッサン、評論すればよいかがわかっている」
ことにあります。
環境設計コースの総合型選抜IIを受験しようとする人は、とにかく「ル・コルビュジエ」の知識をかき集め、造形練習・デッサン練習・小論文練習を行えば、合格に近いところに行けるはずです。
インダストリアルデザインコースの総合型選抜IIを受験しようとする人は、「これぞ」という自分のアイデアをテーマとして研ぎ澄まし、造形練習・デッサン練習・小論文練習を行えば、合格に近いところに行けるはずです。
では、同様に造形・デッサン・評論を課すメディアデザインコースはどうか。
試験当日その場まで「お題」は何か判りません。
つまりここで問われるものは;
「唐突に抽象的なお題が出されても、それを具体的造形として当意即妙に表現できるセンス」
です。
よく考えられています。
先の「志望理由書」のところでも書きましたが、入試の選考にあたる先生方を、何やら煙に巻くように、適当にどうとでも取れるような抽象造形を、あらかじめ作ったりデッサンしたり練習して、当日に出された「お題」に合わせて、さも意味ありげに牽強付会、我田引水的な制作意図をくっつけて作っても、一発でバレます。
高校生程度のあなたが、そのような受験作品に、眉根を寄せたかのような、したり顔のような評論をしてもニセモノはすぐに判ります。
大事なのは、あなたの作る作品を採点する人が、
「ああ、なるほどね」
と思うものを当意即妙に作れるかどうかです。
「うーん、これって、どんなお題に合わせても、どうとでもとれるよね」
みたいなものを作っていては合格はおぼつかないと思います。
おそらく、造形の練習やデッサンの練習よりも、このセンスを磨く方が大事かと。
いやもちろん手先が器用で絵がうまいにこしたことはないのでしょうけど。