九州大学 総合型選抜II(旧AO) 芸術工学部 芸術工学科 メディアデザインコース の話(9)

以上、九大芸術工学部のメディアデザインコースの総合型選抜IIの公開情報から分析して、可能な限りの憶測を働かせて推測したことを書きなぐってみました。

 

最初に書いたように、私は関係者でもないし、すべて分析による憶測・推測なので実際はどうなのかは判りませんし、責任が持てません。

 

ただ少しでも参考になれば幸いです。

  

みなさん、頑張ってください。

九州大学 総合型選抜II(旧AO) 芸術工学部 芸術工学科 メディアデザインコース の話(8)

それは、環境設計コースもインダストリアルデザインコースも;

 

「事前に何に関して制作、デッサン、評論すればよいかがわかっている」

 

ことにあります。

 

環境設計コースの総合型選抜IIを受験しようとする人は、とにかく「ル・コルビュジエ」の知識をかき集め、造形練習・デッサン練習・小論文練習を行えば、合格に近いところに行けるはずです。

 

インダストリアルデザインコースの総合型選抜IIを受験しようとする人は、「これぞ」という自分のアイデアをテーマとして研ぎ澄まし、造形練習・デッサン練習・小論文練習を行えば、合格に近いところに行けるはずです。

 

では、同様に造形・デッサン・評論を課すメディアデザインコースはどうか。

 

試験当日その場まで「お題」は何か判りません。

 

つまりここで問われるものは;

 

「唐突に抽象的なお題が出されても、それを具体的造形として当意即妙に表現できるセンス」

 

です。

 

よく考えられています。

 

先の「志望理由書」のところでも書きましたが、入試の選考にあたる先生方を、何やら煙に巻くように、適当にどうとでも取れるような抽象造形を、あらかじめ作ったりデッサンしたり練習して、当日に出された「お題」に合わせて、さも意味ありげに牽強付会、我田引水的な制作意図をくっつけて作っても、一発でバレます。

 

高校生程度のあなたが、そのような受験作品に、眉根を寄せたかのような、したり顔のような評論をしてもニセモノはすぐに判ります。

 

大事なのは、あなたの作る作品を採点する人が、

「ああ、なるほどね」

と思うものを当意即妙に作れるかどうかです。

「うーん、これって、どんなお題に合わせても、どうとでもとれるよね」

みたいなものを作っていては合格はおぼつかないと思います。

 

おそらく、造形の練習やデッサンの練習よりも、このセンスを磨く方が大事かと。

 

いやもちろん手先が器用で絵がうまいにこしたことはないのでしょうけど。

九州大学 総合型選抜II(旧AO) 芸術工学部 芸術工学科 メディアデザインコース の話(7)

おそらく、総合型選抜IIの第2次選抜の実技では、造形工作の上手下手、デッサンの上手下手、は大して問われません。

なぜかというと、メディアデザインコース全体の入学者定員の半分は、一般選抜で選別され、その人たちはペーパー試験一本で評価されて実技は問われないのですから。

だから総合型選抜IIの第2次選抜の配点も、共通テスト500点、実技250点なのです。

あくまでも学力は重視。

共通テストと前期試験のペーパー試験に若干心もとないが、メディアデザインコース志望の意欲の高い人で、造形能力やデッサンにアドバンテージがあれば補える、程度に考えておけばよいでしょう。

 

ただ、それよりも「メディアデザインコースの総合型選抜IIの実技では、造形工作の上手下手、デッサンの上手下手は大して問われないのではないか」という推測から考えなければいけない重要なことは「では、何が判断されるのか」ということです。

しかもメディアデザインコースの総合型選抜IIでは、入学者定員の半分を総合型選抜IIで選抜します。

これは結構大胆です。メディアデザインコースのある同じ芸術工学部でも、これほど総合型選抜IIによる合格者割合が多い学科はありません。それどころか定員の半分を総合型選抜で取る学科は九州大学はおろか、日本全国でもそうそうないはずです。

 

学力が問われるのはベースにあるのだろうけど、定員の半分を費やしてまで志願者に求める点って何でしょう?

 

これにもヒントがあります。

 

ここで実技で出題される「あるお題」に戻ってみましょう。

「あるお題」は試験会場に行って試験問題が配られ、試験開始の合図があって試験問題を開くまでわかりません。

 

2020年度の「あるお題」は「多様性」でした。

 

2021年度の「あるお題」は「虚実」でした。

 

ん?

 

いきなり試験会場で唐突にこのような抽象的なテーマが与えられ、それを造形し、それをデッサンし、さらには1000字で論じなければいけないのです。

 

唐突で抽象的なテーマだから造形工作の上手下手、デッサンの上手下手は大して問われないのではないか、と言っているわけではありません。

 

公開された情報から、またまた推理、憶測を働かせてみましょう。

 

受験生が選抜を争うために公開される情報は募集要項です。

 

これをよく見てみましょう。

 

九大の芸術工学部の専攻コースは以下の5つがあります。

・環境設計コース

・インダストリアルデザインコース

・未来構想デザインコース

・メディアデザインコース

・音響設計コース

 

この中で第2次選抜の実技にメディアデザインコースと同じような感じで、造形やデッサンを課しているコースがあって、それは「環境設計コース」と「インダストリアルデザインコース」です。

 

2021年度の環境設計コースの実技は以下のようなものです。

ル・コルビュジエ」に関する資料が提示される(読み物か写真か、はたまた別物かは判りません)。それに関する理解を記録する。理解に基づいて与えられた材料を使って立体を制作する。立体を描写する。制作意図を論述する。

 

2021年度のインダストリアルデザインコースの実技は以下のようなものです。

与えられた材料を使って自ら設定したテーマにもとづいて構成し、それを描画し、なぜそのような構成としたかを文章で説明する。

 

ここまで書けば「メディアデザインコースの実技では、造形工作の上手下手、デッサンの上手下手は大して問われず、他に重大なことが判断されているのではないか」と推測することが理解できると思います。

九州大学 総合型選抜II(旧AO) 芸術工学部 芸術工学科 メディアデザインコース の話(6)

九大の芸術工学部が、筑波大学の「情報学群情報メディア創成学類」や早稲田大学の「基幹理工学部表現工学科」と違う存在であらしめているもの。

 

それが総合型選抜II(旧AO)であり、その重要な選抜試験が「実技」です。

 

メディアデザインコースの実技は、募集要項(2021年度)にはこう書いてあります。

 

「造形・描画表現及びそれに伴う論述を課し,観察力,表現力及び論理的思考能力を評価します。」

 

なんだかよくわかりません。

 

 ちなみに試験時間は4時間(2021年度)。

 

この時点で、志望意欲の低い、ものぐさな人は某知恵の袋とかの掲示板で聞いてしまいます。

九州大学芸術工学部メディアデザインコースを志望するものです。総合型選抜IIの実技ってどんな問題が出るのでしょうか」

 

おまえなあ。

その程度の志望意思のものぐさは不合格になってしまえ!

大学の入試問題は九州大学に限らず一般的に開示されます(入試問題で引用した著作など、入試限りでの利用を許された著作権を他者が有する部分などは除かれますが)。

 

「え...芸術工学部の総合型選抜IIの赤本ってないですよね...」

 

おまえなあ。

そんな世間知らずは不合格になってしまえ!

そういうのは九州大学の学務課に問い合わせるのですよ。

そうして「過去のメディアデザインコースの総合型選抜IIの問題をください」とお願いすれば「XX円切手を貼った返信用封筒を同封して郵便で請求して」とか「窓口に来られますか」とか、きっと忙しいであろう中を懇切丁寧に教えてくれるでしょう。

 

九大の芸術工学部も4月以降であれば、その年度入学の総合型選抜IIの問題を公開してくれるようです。

私も2020年度と2021年度の問題を入手することができました。 

 

メディアデザインコースは2020年度から募集を開始した学科なので、まだ入試は2回しか行われていません。

 よって手に入る過去問も2年分のみです。

 

ただ、メディアデザインコースの前身の「画像設計学科」のAOが酷似しているので参考になるかもしれません。

2022年度以降どうなるかはわかりませんが、「画像設計学科」の流れを踏襲していけば似たような感じで続いていくのではないでしょうか。

 

さて、いよいよ本題。

2020年度、2021年度の「実技」の具体的中身は次のとおりです。

そのまま試験問題を書き写すと「2次利用」もしくは「著作権侵害」になると思いますので、概要のみを記します。

 

1.試験会場にはだいたい以下のものがあって使用自由。逆に自分からは通常の筆記用具(HBの鉛筆とかシャーペン、消しゴム)と時計以外は持ち込めない。

 ・造形工作用材料(紙数枚)

・造形工作用接着剤(木工用ボンド、瞬間接着剤)

・定規とカッター

・デッサン用鉛筆(2B・3B)と消しゴム

・デッサン用の一枚紙

・造形の製作意図を説明する紙

・小論文用の紙

 

2.試験時間4時間。この中で以下の3つをこなさなければいけない。それぞれの時間配分は自由。

(1)当日与えられる「あるお題」を上記1の材料を使って造形で表現し、100字の製作意図の解説をつける(100点)

(2)その自分で作って表現した造形をデッサンする(100点)

(3)造形表現やデッサンとは別に「あるお題」そのものについて1000字で論じる(50点)

 

どうですか。

「そんなもんか」とも思うし「えー結構キツイ」とも思います。

造形で表現、とはすなわち工作です。手先の器用な人はいいかも。

デッサンかあ。やっぱ美術学校に通っといたほうがいいのかなあ。

 

では分析してみましょう。

九州大学 総合型選抜II(旧AO) 芸術工学部 芸術工学科 メディアデザインコース の話(5)

メディアデザインコースに限らず、芸術工学部の総合型選抜IIの第1次選抜の合否判定の基準について、募集要項には以下のように書いてあります。

 

「調査書又は調査書に代わる書類を 100 点満点で、志望理由書を 200 点満点で評価し、各評価を合わせて 3 段階(ABC)で総合評価します。」(2021年度)

 

はて?

 

A判定をもらえた人は第1次選抜合格で、C判定の人は不合格ということかな?いやーそうするとB判定の人はどうなってる?

いやいや、C判定の人のみ不合格でA判定とB判定の人が合格?

いやいや、第1次選抜の合格者の中にはA判定もB判定もC判定もいるのかも...そうすると、ではその割合は?

まてよ、、、そうならば第1次選抜さえ受かれば、あとは共通テストと実技を頑張ってって考えてたけど、、、もしかしたら第1次選抜の結果って第2次選抜に影響してる?

 

これらに関する大学からの公開情報は何もありません。

 

そうです第1次選抜でいったいぜんたい受験者のどれだけがA判定になるのかわかりません。

(A判定であれば第1次選抜合格、というのは多分まちがいなさそうですが)

 

そもそもA判定、B判定、C判定の境界を1次選抜の300点満点に対する絶対点数基準、例えば100点未満はC判定、200点未満はB判定、とかで区切っているのか、それとも受験者全体の点数ばらつきを見て統計的な割合、例えば上位5%はA判定とか、で区切っているのかすら判りません。

 

80人ぐらいの最初の志願者の70人ぐらいが第1次選抜合格となるのですが、70人みんながA判定とは考えにくい。たぶんこの中にはB判定もいると考えるのが自然でしょう。

もしかしたらC判定もいる。

 

第1次選抜の結果は第2次選抜の選考に影響を与えていないとは言い切れないような気がしてきました。

 

第2次選抜は第2次選抜で、これも「実技を 250 点満点で評価し、大学入学共通テストの成績(500 点満点)と合わせて 3 段階(ABC)で総合評価します。」(2021年度)としか書いてありません。

 

第1次選抜の結果を第2次選抜で考慮するとも考慮しないとも書いてありません。

 

これは第2次選抜においても第1次選抜の結果は影響していると見た方がよさそうです。

 

だって、第1次選抜合格者は第2次選抜に対して同じスタートラインに立って、よういドン、で第2次選抜のABC判定だけで最終合格者が決まるならば、第1次選抜合格者にA、B、(もしかしたらCも)の色付けをすることに意味はありませんからね。

 

先に「志望理由書」は第1次選抜をクリアすればいいだけのものではない、との意味のことを書いたのはそこにあります。

 

では選抜はどのように行われているか。

 

あくまで推測、いや憶測の一つですが、例えば、第1次選抜者を上から順に並べていく。

当然、その並びは、Aの1番、Aの2番、、、Aのビリ、Bの1番、Bの2番、、、Bのビリ、Cの1番、Cの2番、第1次選抜者のビリ、となるわけです。

仮に第1次選抜の結果Aグループは10人しかいなかったとしましょう。そして、このAグループの者は第2次選抜の結果がAもしくはBであれば原則最終合格者とする、第1次選抜のBグループの者は、第2次選抜でAであれば原則最終合格者として並べていって定員20名に達したところで終了~、、、、

などという選抜が行われている可能性があるわけです。

 

そう考えると、やはり第1次選抜で可能な限り上位で選抜される必要があり、そのためには得点ウェートの大きい「志望理由書」が良いものである必要があるわけです。

 

では、次は第2次選抜の分析です。

九州大学 総合型選抜II(旧AO) 芸術工学部 芸術工学科 メディアデザインコース の話(4)

「志望理由書」の形式が整っている、とは一般的に必ず書かなければいけないことが書いてあるという意味です。

例えば「アドミッションポリシーの理解とそれに対する整合性」など。

志望理由書の書き方の指南書はそこらじゅうにあるので、こんな基本的なことはそっちに任せて、以下、「メディアデザインコースで加点につながると思われる、書いた方が良さそうなこと」について募集要項で配布される様式に沿ってみていくことにしよう。

 

芸術工学部の志望理由書は3枚。自分の名前と希望するコース名を記入した後、以下を書いていくことになります。

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(1枚目)

芸術工学科の上記コース(メディアデザインコース)を志望する理由について述べる」

(2枚目)

「自身についてアピールしたい点を述べる(勉学に関する自己評価や、課外活動、社会活動、資格など)」

(3枚目)

「受けた表彰などがある場合は列挙」

「取得した資格や各種の検定の成績がある場合はその最高の等級や得点を列挙」

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1枚目がまさに志望理由そのものなのですが、ここで「なぜメディアデザインコースなのか」を「具体的理由」とともに示す必要があります。

「なぜメディアデザインコースなのか」は言い方を変えれば「他の大学・学科では代わりが効かない九大芸術工学科のメディアデザインコースでなければならい理由」です。

「メディアデザインコースだけでなくワイルドカード的に何でも使える成果」(英検成績とか)は2枚目に書いた方が良いように思います。

 

以下、ヒントです。

 

 (1)志望のエビデンス

メディアデザインコースでは高校生向けの公開講座が夏にあります。少なくとも2019年と2020年にはありました。

開催形式は、よくある大学の市民講座と同じような感じですが、これに参加すると「受講証」みたいなものをくれます。

これを示すことは、「昔からメディアデザインコースを進路選択としている」ことのエビデンスとなり、「そろそろ受験の進路探しの中で、とりあえず受けてみるか、と気まぐれでやってきた、ぽっと出の志願者とは違う」ことの証拠になります。

 

(2)コンテンツ創成意欲のエビデンス

志望理由書3枚目の「受けた表彰」に関連するのですが、クリエータコンペへの出品、できれば受賞の記録があればメディアコンテンツ創生意欲のエビデンスとして大きく評価されそうです。

「GEMSTONE」という東宝のクリエーターズオーディションがありますが、それなんかであれば最高レベルのエビデンスのひとつでしょう。

公式サイトに作品を見に行けば判りますが、技術・機材がプアであってもアイデアの勝負で高校生レベルで作れる受賞作品があります。

ここまでレベルの高いコンペでなくても「高校生」「コンテスト」で検索すればいろいろ出てきます。

コンテスト出品はおぼつかない、、、という人でも、自分のSNSでちょっとした作品を公開するのもありでしょう。

いずれにせよ、志望理由書の1枚目で示すべき大事なことは受賞記録ではなくて、意欲なので「コンテンツを制作することを通じて自分が何を考え、得ることができ、成長できたか」を示すことが大事になると思われます。

 

(3)学習意欲と将来ビジョンのエビデンス

ある意味、これが一番大事かも。

ちょっと長くなりますが。

まずは一般的な話。

多くの受験生は、自分のおおまかな進路、法学とか工学とか決めたら自分の入れる偏差値で一番良さげな大学入って、なんとなく3年過ごして、じゃんけんで入った研究室で与えられた卒業研究やって(理工系は修士まで行けば6年)、就職の時は何十社の会社にエントリーシート送って、最終的に内定もらった一番良さげな会社に入って、何年かたって「俺の人生これでよかったんだっけ?」なんて疑問に思う、という人生が待っていると思います。

 

私もそうでした。

 

またこれからの日本の雇用で重要視されるのは、これまで行われてきた「メンバーシップ型の雇用」「横並びの昇進」「終身雇用」ではなくなって、「ジョブ型雇用の中で戦える専門性は前提で持っていて、そのうえでジェネラリストとしてマネジメントで活躍できる」能力になるのが目に見えています。

 

そのためにも「なんとなくの将来ビジョン」ではなく「将来XXの仕事をやるためには遡って学部・修士・ドクターのそれぞれの時点で客観的に評価されるXXの成果を出しておかなければいけない、自分が学びたいものに近い大学の専門家はXX先生なので、ネームバリューで大学を選ぶのではなく、その先生のいるXX大学でその先生の研究室に入らなければいけない」というロードマップが必要でしょう。

 

メディアデザインコースの「志望理由書」にもそれが書ければベストだと思います。

 

「志望理由書」は会社に入るときのエントリーシートや面接と同じです。

「やる気だけは負けません、頑張ります」では「お前何ができるの?うちの会社の利益にどう貢献できるの?なんでお前を給料払って雇わないといけないの?」という評価軸の中では通用しません。

大学も、法人化が進んで世知辛い世の中「この学生を入学させると素晴らしい研究結果を出してくれて大学としての評価が伸びそうだ」とか、入試の選考を行う先生も厳しい研究世界で成果を争う研究者なのですから「この学生をうちの研究室に入れたら、うちでやってる研究の成果が高まりそうだな」と思わせた方がいいように思います。

 

以上みてきたように、おそらく総合型選抜IIの「志望理由書」で勝ちぬくためには、「そろそろ3年になったから進路を本気で考えるか」では遅すぎるように思います。

 

「高校生講座への参加」も「コンテンツ制作の経験とその中で得たもの」も「将来の自分像のロードマップを決めておく」のも多分1年やそこらではまとめられない時間が必要です。

 

適当なきれいごとを「志望理由書」に書いても、

・出願前の付け焼刃

・どうとでも取れることの牽強付会

・無理やりな我田引水

これらは全部バレます。

 

相手は数えきれない学生を相手にし、数えきれない受験生を評価してきてるのですから。

 

「いやー、そうはいっても第1次選考で落とされる人って80人志望して10人ぐらいだし、実際少ないじゃん、共通テストと実技で頑張ればいいんでしょ」

 

本当にそうでしょうか。

 

興味ある事実として、九州大学の公開している「入学者選抜実施状況」のデータでは、「一般入試(いわゆる前期・後期)」については「合格者最高点・最低点・平均点」が公表されていますが、「AO・総合型選抜II」の実施状況では「志願者・受験者・合格者」の数しか公表されていません。

 

また先に書いたように総合型選抜IIでは募集要項に「各評価を合わせて 3 段階(ABC)で総合評価する」と書いてあります。

 

これは何を意味しているのでしょう。

九州大学 総合型選抜II(旧AO) 芸術工学部 芸術工学科 メディアデザインコース の話(3)

もちろん「志望理由書」がどのような基準に沿って評価され、採点されているかは判らない。

採点基準が公開されていないからだ。

これはどこの大学の総合型選抜でもそうだろう。

 

「熱意なんか点数で測りようがないよね」

 

などと曖昧だから公開されないのか、と凡庸な人は考えるかもしれない。

 

だが厳然とした採点基準が存在することは間違いない。

 

考えてもみてください。

入試選考委員となった先生方がワイワイとフィーリングで「こっち?いやこっちがよさそう?」なんてできるはずがない。できない。

選考過程は「正当な客観的評価結果の記録」で残さねばならない。学科・コースレベルで選定した合格者を上位の学部レベルに報告し、最終的には大学本部に報告するためには「根拠」が必要だ。

だから厳然とした採点基準が存在する。

合格者を選考する会議の場で、入試選考委員の先生方が満場一致で疑義をはさまず、いわば機械的に判定できる基準がある(はず)。

 

「熱意なんか点数で測りようがないよね」

 

できます。

熱意を証拠(エビデンス)として示せばよい。

証拠といっても志望理由書に「熱意だけは負けません、合格させてください、お願いします、がんばります」と書いても、昭和時代の飛び込み営業の「買ってください、お願いします、土下座でもなんでもします」じゃあるまし、そうではない。

 

客観的に加点できるアイテム・証拠として示す必要がある。

 

これは想像だが、例えば志望理由書が形式的に整っていれば基礎点を与えるのではないかと思う。そこに、

・英検2級に合格してれば+10点、準1級なら+20点、1級なら+40点

とか

・学校外活動で賞を取っていれば+30点

とか、みたいな感じではないかと想像する。